身近なものを外装や設置に活用する手法を学ぶ 1
ソフトウェアは手軽に書き換えることができプロトタイピング向き
いままで、みなさんは M5Stack のソフトウェア面を中心にプロトタイピングをしてきました。
ソフトウェアはプログラム(命令)を書き換えることによって、M5Stack で言えばセンサーに合わせてデータを取得したり、LINE BOT にデータをやり取りしたり、ボタンやディスプレイの動きを手軽に変えることができます。
ソフトウェアは、素早く作って試してフィードバックを得るというプロトタイピングの視点から考えると、とても相性が良いものです。
外装、設置もプロトタイピングととらえることが大切
外装、設置を含めてハードウェア部分は、本来であれば普通に取り組んでしまう場合、ソフトウェアと比べて、作り上げるまでが手間がかかったり、手軽に後戻りができなかったり難しい面があります。
外装、設置もプロトタイピングととらえることが大切です。身近なものを外装や設置に活用して、ソフトウェアと近い感覚でプロトタイピングできるよう、学んでいきましょう。
- いつでも粗く作ることができる
- 壊れても直すことができる
- 間違いに気づいても直すことができる
- つくって楽しい
このような、ソフトウェアにおけるプロトタイピング同じポイントを大事にします。
紙や段ボールによるプロトタイピング
身近にある素材として、紙や段ボールはおススメです。
たとえば、micro:bit v2.0の新機能で、叩くと音を奏でる段ボール楽器 のように、音の鳴る仕組みをつくって試してみるというところであれば、このように段ボールの箱を使ってつくることができます。
micro:bitでルーレットゲーム のサンプルのようにボタン部分を段ボールで作っていますが、ちゃんと押すことができます。
また、ペンで文字を書くことによってボタンを分かりやすくすることができます。もちろん、人に伝えるうえで「こんなに雑でいいのか・・・?」と思うかもしれませんが、そういう気づきが生まれれば次のタイミングで磨いていけばよいのです。
超初心者でも簡単!micro:bitで表情が変わるロボット では、空き箱のボール紙を使って作っています。
見た目を作りきることで強く印象付けて案内することは大切ですが、相手にもざっくり見立てられるくらいに留めて使ってもらうという力の抜き方も大事です。
こうすることによって、パワーをかけた制作物がうまく伝わらず消耗してやり直すよりも、粗く見えるがちょっと親しみが出るくらいで、触ってもらえるくらいでアウトプットして、フィードバックによる次のつくるを軽やかに行うことができます。
タッパー(密閉容器)
100 円ショップで購入できる、タッパー(密閉容器)もおススメです。サイズが豊富で、柔らかいプラスチックの場合はカッターでも刃が入りコードの穴あけや封入の加工がしやすいです。
どれくらい豊富かというところは以下の記事も見てみましょう。
ダイソーのタッパー全サイズ 種類を調査 ガラスのやおすすめを紹介! | 100均情報部
また、このような、やや硬い素材のプラスチックも穴あけの加工はしにくいですが、頑丈で設置するときに、対応しやすいです。
紙や段ボールと比べて強度があり展示時にも安心です。
実装例1
私が以前行った実装例です。
こちらは、わりと良く使っている電池ケースです。柔らかい素材なので色々な試行錯誤を重ねて、CO2・温湿度センサーと M5Stack を封入しました。横の穴で天井に吊るすことができて、計測時にも扱いやすかったです。
実装例2
うこさんの 「LINEで操作できるスマートロックのプロトタイプを弊社に実装した(製作7時間・材料費約3500円)」 / Twitter
100 円ショップはアイデアと素材の宝庫
タッパー(密閉容器)をはじめ 100 円ショップは、つくる上でのアイデアと素材の宝庫です。ハイスキルなメイカーなひとでも、100円ショップにある素材や電子部品は定期的に巡回して、参考にしている人は多いです。
イチから自分でつくれなくても、ケースや部品など出来合いのものを 100 円ショップで購入して活用するのは、プロトタイピングにはおすすめです。100 円ショップで色々な素材を見ることで発想が広がったり実現度が高まったりするので、定期的に眺めておくとよいでしょう。
また、展示をする際も、100 円ショップで調達できるものが把握できていると、何かが壊れたときや、新しく何かを加えたいときに、いざというときに、近場の 100 円ショップで調達できるというテクニックも使えます。
いくつか、プロトタイプに便利な素材をご紹介します。
グルーガン
段ボールや紙の素材を使うときにグルーガンは役に立ちます。素早く固まって接着スピードも速く、接着も強く、作業が素早く行えます。
マスキングテープ
段ボールや紙の素材を使うときにマスキングテープもおすすめです。こちらは、一度貼り付けても、きれいに剥がすことができ、試行錯誤に向いています。何かをより強く固定するときに仮留めとしても使えるので重宝します。
セロハンテープやガムテープは一度つけてしまうと、跡が残ったり紙を痛めやすいので、一発勝負になりがちで試行錯誤に向いていません。
つけた部分が見栄えするので、電子工作部分が衝撃でハズレたりしないようにする固定するときにも助けになります。工作時に「どこをつけてこの構造を作った」ということが目で見て伝わりやすいのも特徴です。
その他の素材
- 結束バンド
- 絶縁テープ
- USB ケーブル
- など
図工レベルの制作力をうまく取り入れていきましょう
ここまでで紹介した手法は、難しい工具はあまり登場せず図工レベルのものです。このレベルであれば、身近な素材からすぐにはじめることができ、途中で修正もしやすいです。手元の PC の横で、ソフトウェアの制作もしながらつくるにはもってこいです。
ここでもプロトタイプです。
いきなり、難易度の高い構造物にチャレンジしてうまくいかなかったり時間がかかって挫折するよりも、粗くてもすぐに作れて試行錯誤できることを大事にして、自分のプロダクトを伝えるための入り口としてのインターフェースをつくってみましょう。
質疑応答
ここまでで質問があればどうぞ!
次にすすみましょう
左のナビゲーションから「身近なものを外装や設置に活用2」にすすみましょう。